インドネシアへの移住や長期滞在を検討している方にとって、最も気になるのが実際の生活費でしょう。
「東南アジアは物価が安い」というイメージはあるものの、具体的にどの程度の費用が必要なのか、都市部と地方でどれほど差があるのかは、実際に住んでみないと分からない部分が多いものです。また、インフレが急速に進んでいて昔と比べるとあらゆるモノ・サービスの値段が上昇しており、特に都市部が顕著です。ジャカルタは生活の仕方次第ではあるものの、日本の地方都市よりも生活費がかかるケースもあると思います。
私はインドネシアの様々な都市を点々としながら暮らしていましたが、ジャカルタ、ジョグジャカルタ、マラン、バリで合計3年間生活した経験があります。
そこでこれらの経験をもとに、移住を検討している方、既に現地で生活を始めた方、そして旅行でより深くインドネシアを知りたい方にとって、実用的な情報をお届けします。
ぜひ参考にしていただければ幸いです。
インドネシア生活費の全体像
インドネシアでの月間生活費は、住む場所やライフスタイルによって大きく変動しますが、一般的な目安として以下のような範囲になります。
ジャカルタ(首都圏)での生活費
- 節約型:月額8万円〜12万円
- 標準型:月額12万円〜25万円
- 快適型:月額25万円〜50万円
地方都市での生活費
- 節約型:月額7万円〜10万円
- 標準型:月額10万円〜20万円
- 快適型:月額20万円〜35万円
これには住居費、食費、交通費、通信費、娯楽費などの基本的な生活費が含まれています。
ただし、独身、DINKS、子持ち夫婦であるかによって大きく異なるかと思います。
また個人の嗜好や必要とするサービスレベルによって、実際の費用は大きく変わってきます。
インドネシアの生活費:住居費(生活費の最大項目)
インドネシアでの生活費において、住居費が占める割合は非常に大きく、全体の30-50%程度になることが一般的です。
私はジャカルタでは3万程度のコスに住んでいましたが、地方なら同クオリティのコスを2万弱で探すことができました。
参考までに以下の写真はジャカルタ中心エリアの家賃4万円のコスの部屋です。
コスとしてはグレードが高い部屋で日本人でも問題ない清潔さだと思います。
近年ジャカルタではCo-Livingタイプの共用エリアが充実した、少しリッチなコスが増えてきているように感じます。
家賃は通常のコスより高めですが、コワーキング代わりに共用エリアでパソコン作業ができますし、ローカルの友人などもできやすい利点があります。
ジャカルタの住居費相場
- ワンルーム(コス):月額2万円〜5万円
- 1ベッドルームアパート:月額5万円〜12万円
- 2ベッドルームアパート:月額8万円〜20万円
- 高級コンドミニアム:月額15万円〜40万円
地方都市の住居費相場
- ワンルーム(コス):月額1万円〜3万円
- 1ベッドルームアパート:月額3万円〜7万円
- 2ベッドルームアパート:月額5万円〜12万円
住居選びの際は、立地、設備、セキュリティレベルを総合的に判断することが重要です。
ジャカルタでは交通渋滞が深刻なため、職場へのアクセスを考える必要があるでしょう。
また洪水が発生して浸水しやすいエリアもあります。高層階に住むなら問題ないですが、一階の部屋や一軒家を借りる予定の人は注意した方が良いでしょう。
さらに、ジャカルタは少なかったですが、地方都市は停電が結構な頻度で発生します。
停電や断水に備えて、ジェネレーターや貯水タンクの有無も確認しておきましょう。
賃貸契約では通常、デポジットなど初期費用が必要になりますが、基本的に家具なども備え付きなのでスムーズに住み始めることができます。
インドネシアの生活費:食費(ローカルフードから日本食まで)
インドネシアの食費は、どこで何を食べるかによって大きく変わります。
ローカルフードを中心とした食生活なら非常に安く抑えられますが、日本食や西洋料理を頻繁に食べる場合は日本とそれほど変わらない費用がかかります。
またインドネシアはビール以外のお酒が非常に高価なので、日常的に飲むとなるとアルコール代が嵩みます。
ローカルフードの相場
- ワルン(屋台)での食事:100円〜300円
- 中級レストラン:500円〜1,500円
外国料理・高級レストラン
- 日本料理レストラン:1,500円〜5,000円
- 西洋料理レストラン:1,000円〜3,000円
- 高級ホテルでの食事:3,000円〜8,000円
自炊中心の場合
ローカル市場で食材を購入して自炊中心の生活なら、月額1万5千円〜3万円程度で十分な食生活が可能です。
ただし、日本の調味料や食材を購入する場合は、輸入品のため日本の2-3倍の価格になることを覚悟しておきましょう。
米、野菜、魚、鶏肉などの基本的な食材は非常に安価で新鮮です。
特に熱帯フルーツは種類が豊富で安く、マンゴー、ドリアン、ランブータンなどを日常的に楽しめるのはインドネシア生活の大きな魅力の一つです。
インドネシアの生活費:交通費(渋滞都市での移動コスト)
インドネシア、特にジャカルタでの交通費は、移動手段によって大きく異なります。
公共交通機関は非常に安価ですが、快適性や時間効率を求めるならタクシーやバイクタクシーの利用が現実的です。
公共交通機関
- バス(TransJakarta):1回50円〜100円
- 地下鉄(MRT):1回80円〜200円
- 電車(KRL):1回30円〜150円
タクシー・配車アプリ
- Go-Jek/Grab(バイクタクシー):1回100円〜
- Go-Car/Grab Car、ブルーバード(従来型タクシー):1回200円〜
自家用車
自家用車を所有する場合、ガソリン代は比較的安価(1リットル約100円)ですが維持費が一定必要です。
レンタカー、レンタルバイク
定住するのではなく数ヶ月単位で長期滞在する方はレンタルという手段もあります。
バイクであれば月1-2万程度でレンタルすることができます。
通信費・光熱費:意外と安い固定費
インドネシアの通信費や光熱費は、日本と比較して非常に安価です。
インターネット速度など品質面でも差を感じることは少ないです。
通信費
- スマホのSIMカード:月額1,000円〜2,000円
光熱費
- 電気代:月額2,000円〜8,000円
- 水道代:月額500円〜1,500円 (住む場所によっては不要)
- ガス代:月額500円〜1,000円 (コスなら共同キッチンなので不要)
エアコンの使用頻度によって電気代は大きく変動します。
熱帯気候のため年中暑く、エアコンなしの生活は現実的ではありません。
24時間稼働させる場合は月額1万円を超えることもあります。
インドネシアの生活費:娯楽・その他の費用
インドネシアでの娯楽費は、どのような活動を好むかによって大きく異なります。
ローカルの娯楽を楽しむなら非常に安価ですが、外国人向けの施設やサービスを利用する場合は相応の費用がかかります。
娯楽・レジャー
- 映画館:300円〜1,000円
- スパ・マッサージ:1,000円〜5,000円
- ゴルフ:3,000円〜8,000円
- ジム会費:月額3,000円〜8,000円
医療費
- 一般診療:1,500円〜5,000円
- 健康保険(国際保険):月額5,000円〜20,000円
インドネシアの都市部と地方の生活費格差
インドネシアでは都市部と地方の生活費格差が非常に大きく、特に住居費と外食費で顕著な差が見られます。
ジャカルタ vs 地方都市の比較
住居費はジャカルタが地方の1.5-3倍、外食費も1.5-2倍程度高くなります。
一方で、ローカル市場での食材価格や公共交通機関の料金はそれほど大きな差がありません。
地方都市はジャカルタと比較して以下のような特徴があります:
- より広い住居を安価で借りられる
- 交通渋滞が少なく移動時間が短い
- 日本人コミュニティや日本食レストランが少ない
バリ島の特殊事情
観光地として有名なバリ島は、地方でありながら住居費や外食費が高めです。
特にサヌール、ウブド、チャングーなどの外国人居住者が多いエリアでは、ジャカルタと同程度かそれ以上の費用がかかることもあります。
一方でこれらのリゾートエリアから離れたデンパサールのエリアは物価は他の地方都市と同じく物価はかなり安いです。
この他、スラバヤ、メダン、バンドンなどの大きい都市はジャカルタほどではないですが、生活費は結構かかります。
インドネシアで生活費を節約するコツと注意点
インドネシアで生活費を抑えるためのコツをいくつか紹介します:
効果的な節約方法
1. ローカル市場での食材購入と自炊中心の生活
2. 公共交通機関やバイクタクシーの積極的な利用
3. ローカルのサービスの利用
4. 日本食や輸入品や酒の依存度を下げる
節約時の注意点
ただし、過度な節約は安全性や健康面でのリスクを伴うことがあります。
特に以下の点には注意が必要です:
- 安価な住居は治安やインフラ面で問題がある場合がある
- 屋台での食事は衛生面でのリスクがある
- 安価な交通手段は安全性に不安がある場合がある
インドネシア生活費についてのまとめ
インドネシアでの生活費は、住む場所やライフスタイルによって大きく幅があります。
ジャカルタなどの都市部では日本の地方都市程度、もしくはそれ以上の費用がかかる一方、地方都市なら大幅な生活費削減が可能です。
生活費をコントロールするには特に固定費をできるだけ抑えることが大切です。
住居費が全体の3-5割を占めることを理解し、家賃、交通アクセス、安全性のバランスを考慮した物件選びをしましょう。
食費についてはローカルフードを中心とすれば大幅に節約できますが、日本食や輸入品に頼ると想像以上の出費となります。
また、通信費や光熱費は日本より安価である一方、医療費や子持ちであれば教育費は相応の準備が必要です。
過度な節約は安全性や健康面でリスクを伴うため、適切な予算配分と緊急時の資金確保が重要となります。
現地での生活を充実させるためには、コストだけでなく安全性と快適性のバランスを取った計画的なアプローチが成功の鍵といえるでしょう。